blog-date

Jul

2

Sat

『ヌレオンナ』

ヌレオンナ

雨が降ると、わたしは無性に心が躍る子どもだった。

意味もなくオーバーオールをはいて一日過ごしてみたり、

冷たい布団の中で本を読みあさったりと、随分ひきこもって

水の滴る音や灰色の雰囲気を楽しんでいた。

やっかいに思うのは、一年の中でもこの時期に降る雨だった。

 

梅雨入りが告げられるとほぼ同時に、頭からバケツいっぱいの

水をかぶったみたいに、湿気のせいか暑さのせいかわからない

くらいに全身で水分の層をまとうことを余儀なくされた。

元来汗っかきなわたしは、この時期は妖怪のヌレオンナみたいで

恥ずかしくてしょうがなかった(今でこそ可愛い思い出)。

ここ数年で、北の方、北の方へと暮らしの拠点が移り、そんな

気候ともおさらばかと思うと、内心さみしいような気もしていた。

 

そんな3度目の北海道の初夏。

冷たい風と、しっとり降る雨が続く今日この頃。

湿気は少ないが、からだに妙な熱がこもる。

おさらばどころか、ネオ・梅雨にお目見えしてしまった。

畑のトマトは青い実をたずさえ、太陽のお出ましを待ちわびている。

そんな健気で力強いトマトに、胸がしめつけられる。

テントウ虫はバケツに溜まった水面を溺れかけながら泳いでいる。

 

わたしは今日も、汗をかきながら、アイス珈琲を飲みながら、

雨に降られて愉快にひきこもっている。

 

みほ